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C-team:須藤憲司
「WEB広告が面白くなるぞ...!」
僕の思いつきがMTLに出会って1年でフィジビリ→事業化。

須藤憲司
株式会社リクルート アド・オプティマイゼーション推進室 室長

これは、とんでもなくいいアイディアなんじゃないだろうか。

 きっかけは、関わっていた「スゴイ地図」というサービスがグッドデザイン賞を受賞したことでした。確かその年のグランプリはeneloopで、ほかにwiiや新幹線N700系も受賞していた。「スゴイ地図」はデザインもすごくこだわったから、受賞はうれしかった。なのに、受賞パーティの会場で「いいデザインって何なんだろう?」って疑問が浮かんでしまったんです。偉い審査員の先生じゃなく、一般の消費者がいいデザインを決めた方が面白くないか?商品の売行きはデザインの善し悪しだけでは決まらないけれど、広告はデザイン次第でパフォーマンスが変わる。作り手も「クリエイター」と肩書きのつく人に限定しないで、日常生活の中でふつうの人が工夫していることがほんとはクリエイティブなんじゃないのか...そこまで妄想して、ふとバナー広告のことを思ったんです。バナー広告なら一般の人も作りやすいから、たくさん作ってもらって、クリック数の集計でいいものを残す仕組みを作れば面白いんじゃないかな?ウィキペディアが百科事典でやったようなことを、クリエイティブの世界でやれるんじゃないかと。

 

 当時いた部署で、バナーをたくさん扱っていました。翌日からさっそくヒアリングです。そうしたら、作る人も選ぶ人も「つまんない」って言うんですよ。デザイナーはもっと自由に作って提案をしたい。クライアントも、バナーのクリエイティブってどれがいいのかわからなくて、全然科学的に選べていない。「これはやれそうだな」と、一週間くらいの間に、今のC-team(シーチーム)の形が頭の中でほぼできあがって。

C-team:独自のアルゴリズムでバナーの効果を検証
独自のアルゴリズムでバナーの効果を検証

 

 そこから、独学でアルゴリズムの勉強をするんです。「とてもいいアイディアだから、簡単に真似できないシステムを作らなくては!」と思ったのですよ(笑)。「マンガでわかる統計学」みたいな本から読み始めて。昼間、ふつうに仕事をしながら、帰宅後もくもくと研究してましたね。2ヶ月くらいで「自分ではムリだ」という当たり前の結論に達し、協力者をスカウトしました。幸いハーバードに留学中の優秀な学生さんがおもしろがってくれて。ブラック・ショールズ理論という金融工学の古典的な仕組を広告に持ってきてチューニングして、思いつきから半年くらいで形になりました。

一晩で事業化決定。プロジェクトスタート。

C-team:クリエーターはwebでバナーを投稿
クリエーターはwebでバナーを投稿

 ここまで仕上がったものを、新規事業を考える研修の場で発表したのです。素知らぬ顔で参加して(笑)最終発表にぶつけた。2007年の12月22日だったと記憶してます。翌日、事業開発室長はじめ部長の皆さんに呼ばれました。「おもしろいじゃん。やろうよ」って、年始からMTLの力を借りてC-teamを形にしていくことがその場で決まりました。フィジビリがけっこううまくいったんで、4月には本開発にかかることに。

案の定、クリック率は2倍になった。

 2008年4月に開発着手して、8月にはサービスが立ち上がりました。関わってみると、MTLはほんとうに面白い組織だった。いろんなバックグラウンドを持つプロが集まっていて、どうにかしたいこと、たとえば「毎月数千件のバナーを発信するサーバをできるだけ低コストで運用したい」ってお題があったとすると、あっちからもこっちからも次々アイディアが集まってくるんですよ。おかげで、開発のあらゆるポイントでブレイクスルーが非常に早かった。こんなスピード感でカットオーバーの日を迎えられたのは、MTLだったからこそです。

C-team:効果検証の会議中

 サービス開始日が決まると、根拠もないのに「きっと効果が出るから...!」と社内営業を(笑)。12月までにリクルートの30〜40案件のバナーをC-teamで請け負いました。クリック率は通常出稿の平均2倍になった。営業メンバーがプロジェクトに加わり、翌年1月からは社外案件も手掛けました。効果も出たし、利益も...新規サービスでいきなりの黒字化で、2009年4月にC-teamはMTLを卒業しました。リクルートの一事業としてアドオプティマイゼーション推進室の管轄に。実は自分に課していた目標がありました。「MTLはインキュベーションの機関。できれば1年で卒業したい。新規サービスの開発者として、立ち上げただけでは、事業化ができなければ意味がないぞ」と。それが達成できたんで、心からほっとしました。

何かやりたい人にとって、MTLはすごい場所だと思う。

 立ち上げから3年。C-teamには現在、1万4000人超のクリエイターが登録してくれています。C-teamから世に出したバナー広告は12万点以上。売り上げは5億くらいになってますね。登録クリエイターのプロフィールを見ると、3割がプロのデザイナー。2割は営業など、広告に携わっている人。残りの3割が学生で、あとは主婦が多い。けっこういるんです。主婦でイラレが使える人。クリエイティブに携わっていて、今は育休中の人。先日、育休中の同級生に「ねえ、C-teamって知ってる?」と聞かれた。「自分の空いた時間にできて、好きに作れる。けっこう面白いんだ。子育てで家にいるけれど、世の中と繋がってる感があるんだよね」と。超ガッツポーズしましたね(笑)

 クライアントも面白いと言ってくれる人が多いし、代理店の人も面白がって売ってくれる。僕が最初に描いた「みんながクリエイターになる」「バナー広告を作る人も、出稿する人も面白がれる」という世界は、実現できたと思います。ひとりであたためていたアイディアが、MTLに放り込まれたことで、ものすごい速さと精度で現実になった。MTLは、僕のように新しいサービスを産みたい人には最高の場所だと思います。様々な分野の専門家が揃っていて、それぞれの視点からアドバイスや技術を提供してくれる。「助けて」って言えばみんなうわっと助けてくれる(笑)。インキュベーションの段階って、いろんな分野の人がいることがすごく助けになるんです。抽象度が高くて、何から始めたらいいかもわからないことも多いですから。大体世の中の組織って似たような専門の人が偏るようにできている。でもMTLはほんとに偏りなく、いろんなバックグラウンドを持ったプロがいるところが面白いんです。

卒業プロジェクトインタビュー

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